からくり時計 表現要素と時計機能の一体化
器物から機能へと変化する時計
時計は、時代の最先端技術として進化を遂げてきた。今日では電子デバイスの発展により器物から機能へと変化しており、時計という存在が希薄になっている。そこで、器物としての時計を見直し、表現装置を持ったからくり時計に着目した。からくり時計とは、特殊な表示構造を持つ時計を指し、特定の時間になると自動人形による劇や演奏が行われ見る人々を楽しませる。からくり時計は、時間を表示するだけでなく人々の感覚に訴える表現作品として、時計にはない新たな価値を提供しているといえる。
機能と表現を一体化した時計
従来のからくり時計の問題点として、時計と表現装置が乖離しており1つの器物として成り立っていないこと、演出が単調な人形劇に偏っていることが挙げられる。また、演出が1日に数回といった点についても、目にする機会が少ないと感じる。そこで、からくり時計の表現を時計本来の目的である時間を表示する機能に一体化させる。機能と表現が一体となることで、時間を確認する行為は表現作品を鑑賞する行為に変化し、時計は器物として新たな価値を持つと考える。