ニホンジカの角を素材としたジュエリーアイテム
害獣として駆除されるニホンジカ
今日、日本各地で野生鳥獣による農林水産被害が深刻化している。特に農作物被害額は、近年200 億円で推移している。その中でも、ニホンジカは日本各地で農作物や森林に深刻な被害をもたらす主要な動物の一種である。また現状調査により、駆除された個体のほとんどが活用されず処分されていることが分かった。そこで、駆除された個体から採取されるニホンジカの角の活用事例として、ジュエリーアイテムの制作とブランドの提案を行うことに決定する。
角と錫を複合した新しいジュエリー
角が持つ獣の生々しいイメージを取り除くため、金属を複合し、新鮮な魅力を持ったデザインとなることを目指す。切断や研磨、鋳造などの加工が容易であることや、生産工程において角と性質の相性が良いことから、使用する金属として錫を選定する。また、ニホンジカは害獣として駆除されている反面、古来より神聖な動物として崇められてきた背景を持つ。そのような二面性に着目し、神聖・繊細な美しさを感じるジュエリーアイテムのあり方を模索した。