KANOMA 野澤美祐

フリーズドライ製法の植物系香料を利用した香ブランド


花と6次産業化
今日、日本の農業は高齢化・後継者不足の問題が深刻化し、衰退の危機に直面している。そこで対策の一つとして「農林漁業の6次産業化」が近年推進されている。6次産業化とは、農林漁業・製造業・小売業などの事業の統合的な推進を図り、農山漁村の豊かな地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取り組みである。本制作では、花農家における小規模な6次産業化を見据え、花を原料とした製品の開発を行う。保存食などで活用されるフリーズドライの技術で開発した香料を用い、香とその香を魅力的に提案するための香立てを提案する。


香りを生けるデザイン
花を原料として用いる背景を考慮し、花そのものや花周辺で発生する生活文化から着想を得たデザインとする。そこで着目したのが「床の間に飾られた生け花」である。香を花の枝茎、香から立ちのぼる煙を花、香立てを花器と見立てるような構成とし、床の間のような空間的要素として、香と煙を美しく引き立てる背景板を香立てに取り入れる。よって、香を焚く行為を、花を生けるような所作へ導く。また現状、香はスティック型・コーン型などが一般的であるが、アイコニックな形状を与えることで既存製品との明確な差別化を行った。


Material:
花, 椨粉, 真鍮, EVA樹脂板材 他  

Dimensions:
L55×T2 / H250×W125×D42 [mm]